変身 東野圭吾
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1994/06/06
- メディア: 文庫
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ストーリー自体は先が読めるし、よくありそうなモノだった。脳移植を受けたことにより、性格が変わっていってしまうというモノである。
しかしこれを読んでいて、気づいたことがある。自分は人格や、心は揮発性のものだ、と無意識のうちに考えていたようだ。
「揮発性」というのは、ソフトウェアや、コンピュータ技術の表現で、電源を切ると消えてしまうデータのことである。これに対して、電源を切ってもデータを復元できるようにすることを「永続化」という。
ロールプレイングゲームなどをしていて、セーブをするのはデータの「永続化」を行っている。セーブしないで電源を切ると、最後にセーブしてから、電源を切るまでのデータは消えてしまう。「揮発性」のモノだからだ。
で、私は人格というモノは、死んだら無くなってしまうもの、と思っていたようだ。知識については、わからないが、永続化されるモノかもしれない。「変身」では脳移植を行うことで性格が代わり、能力についても変化する。もちろんフィクションではあるが、人格が「脳」というハードウェアに永続化されているという立場に立っていることが、非常に興味深く思われた。そして心や、人格がどこにあるのかと思う。