変身 東野圭吾

変身 (講談社文庫)

変身 (講談社文庫)

ストーリー自体は先が読めるし、よくありそうなモノだった。脳移植を受けたことにより、性格が変わっていってしまうというモノである。

しかしこれを読んでいて、気づいたことがある。自分は人格や、心は揮発性のものだ、と無意識のうちに考えていたようだ。


「揮発性」というのは、ソフトウェアや、コンピュータ技術の表現で、電源を切ると消えてしまうデータのことである。これに対して、電源を切ってもデータを復元できるようにすることを「永続化」という。

ロールプレイングゲームなどをしていて、セーブをするのはデータの「永続化」を行っている。セーブしないで電源を切ると、最後にセーブしてから、電源を切るまでのデータは消えてしまう。「揮発性」のモノだからだ。

で、私は人格というモノは、死んだら無くなってしまうもの、と思っていたようだ。知識については、わからないが、永続化されるモノかもしれない。「変身」では脳移植を行うことで性格が代わり、能力についても変化する。もちろんフィクションではあるが、人格が「脳」というハードウェアに永続化されているという立場に立っていることが、非常に興味深く思われた。そして心や、人格がどこにあるのかと思う。